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2013年:Cyniclomyces guttulatusが確認された犬にナイスタチンを投与した10例 (第22回 中部小動物臨床研究発表会)

〈要約〉
 急性および慢性に下痢(一部で嘔吐)や削痩を呈し、鏡検下においてCyniclomyces guttulatusが確認された犬の10症例に抗真菌剤であるナイスタチンの投与を行った。以前同様な症例でイトラコナゾールに   よる治療を行ったが、幾つかの症例では治療が長期化するなど課題を残す結果となっていた。今回ナイスタチンを用いることにより症状の改善とともに大幅な治療期間といった好結果が得られた。

Key word:Cyniclomyces guttulatus、ナイスタチン、犬、下痢
 
 Cyniclomyces guttulatus(以前はSaccharomyces guttulatusと呼ばれていた)は酵母様真菌であり、ウサギやモルモットの消化管内に常在し、元来肉食獣の消化管内には存在しないとされる。今回、鏡検下(全て形態的特徴で診断)にてCyniclomyces guttulatus(以下C.guttulatus)が確認され、急性および慢性に下痢(軟便、水様便および頻回便)、一部で嘔吐や削痩等呈した犬の10症例において、各種検査により、C.guttulatusがこれら症状を呈する一要因と判断し、抗真菌剤であるナイスタチン(以下NYS)の投与を行った。食事療法および整腸剤投与等の支持療法を併用し、全症例で良好な結果が得られたのでその概要を報告する。